早稲田大学建築史研究室 月報

早稲田大学建築史研究室の活動報告ブログです。

7月報 研究室旅行

ご無沙汰しております。

月報の更新が著しく遅れてしまいました、申し訳ありません。。

 

前回お伝えした通り、今回は研究室旅行の様子をお届けします。

 

毎年小岩研究室では、関東近郊の大学セミナーハウスに宿泊し、ゼミを行ったり周辺の建築を巡ったりする研究室旅行を実施しています。

今年は長野県軽井沢周辺を訪れました。

 

一日目は、群馬県富岡市貫前神社妙義神社を見学した後、軽井沢セミナーハウスにて全員でゼミを実施しました。

 

貫前神社境内の参道は、神社としては珍しく、一度登って下りることで楼門にたどり着く、下り宮の形態です。

本殿は、内々陣と呼ばれる二階がある珍しい形態で、雷神小窓と呼ばれる小さな小窓が設けられています。また、真御柱と呼ばれる特殊な柱が、内々陣に繋がる階段の前に立てられています。

 

妙義神社の境内は妙義山の東山麓にあり、本殿までは長い石段を登ります。

本殿は権現造の形式で、その正面にある唐門も含め多彩な彫刻と色彩で彩られています。

また本殿まで登る手前には、旧本殿である波己曽社があり、こちらもまた権現造です。

(文章協力:M1芝江くん)

 

いずれの神社でも、図面と照らし合わせたり先生・助手の解説を聞いたりしながら、心ゆくまで見学しました。

 

1日目夜の全体ゼミでは、卒論生が自身の論文の進捗報告として、はじめてのスライドを用いた発表に臨みました。

短い発表時間の中に3ヶ月弱で培った成長が詰め込まれたような気合の入った発表ばかりで、これからの卒論完成までの道のりが楽しみになりました。

また、普段は指導を受けない他ゼミの先輩から指摘やコメントをもらい、それまで持っていなかった視点を得られたり、課題があぶり出された人もいたと思います。

ここからさらにブラッシュアップを重ね、密度を増していけるように、頑張っていきましょう。

 

 

二日目は、軽井沢タリアセンの近代建築群、千住博美術館、小諸城址と幅広い年代の建築をまるっと巡る日でした。

 

軽井沢タリアセンには、日本・西洋の近代建築がたくさん集まっています。

ジブリアニメに登場する家のモデルにもなっている睡鳩荘は、設計者W.M.ヴォーリズらしい細やかで住み手思いの内部意匠が見事で、細部まで見入ってしまいました。

また、アントニン・レイモンドによる「夏の家」は、ちょうどこの直前に重要文化財指定が答申されたばかりで、ホットなタイミングで見ることができました。

見ていて感じたのは、建築の内外のシークエンスや外の風景の見え方が非常に意識されていることです。

移築されて今はこの地に建っていますが、当初建てられた所の周辺にどんな環境・景色が広がっていたのか、想像を掻き立てられました。

この他にもタリアセンには多くの建築があり、時間が足りない程でした。

 

この後訪れた千住博美術館は、筆者は二回目の訪問でしたが、何度来ても飽きない自信がありました。

お気に入りの場所を見つけてずっとそこに居たくなるような、優しい建築だと感じます。

 

最後に長野県小諸市まで移動して、城址を見て回りました。

小諸城は、その地表面の高さが城下町よりも低い「穴城」です。

地勢を惜しみなく活用した天然の要塞として、自然と城が融合した壮大さを存分に味わうことができました。



二日間で様々なジャンルの建築を楽しみ、大満足で東京に戻りました。

 

短い時間でしたが、その中で新しいことをたくさん見て学べただけでなく、その学びを学生同士でざっくばらんに共有し、研究室全体の仲が深まった二日間でした。

既に来年が楽しみです。




ここまでお読みくださりありがとうございました。

次回は夏季休業中の調査の様子をお届けします。

 

文責:M1 笠井