早稲田大学建築史研究室 月報

早稲田大学建築史研究室の活動報告ブログです。

9月報

研究室活動がリモートになり、早半年。この月報に「今月もみなオンラインで作業しました。卒論生には頑張って欲しいと思います」の焼き直しを綴るのもいささか苦しくなって参りました。

残念ながら引き続き多くのゼミ活動はオンラインでの催行を強いられていますが、時にはネット上で収集できる情報を越えて多くの資料が必要になる時もあります。前期の間は厳しい予約制であった大学図書館も、徐々に開放の度合いが強まってきました。かくいう私も、久しくご無沙汰であった国会図書館に足を運んできました。

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台湾のコンクリート技術に関する論文で関西の国会図書館に収蔵されていたものを、インターネットから申請して東京本館に取り寄せてもらい、それを閲覧するために私ははるばる地下鉄を乗り継いで国会図書館に赴く、という塩梅でした。一冊の論文を読むために随分な移動のエネルギーが費やされるものだと、なにやら不思議な気分になります。

しかし振り返ってみると、去年の今頃の私は卒論を書くため、リュックサック一つで台湾にすっ飛んで行って図書館や博物館巡りをしていました。その渡航スタイルの無頓着なこと。当時の日記を見ると「パスポート、お金、pcだけ忘れないように。他は困ったら現地調達」といった具合で渡航していたことが分かります。電車で隣町に行くことすらちょっとした遠出のように感じる今日とは随分な違いです。

もっとも、浮いた旅費や交際費を上手く別の研究に投資している友人もいます。私と同じく旅好きの(というより、サイクリング趣味の)研究室メンバーは最近はドローンを購入し、都内での建築調査に存分に活用しているそうです。私も払い戻された台湾行き航空券を元手に、なにか上手い自己投資ができないかと頭を捻っています。

とりあえず、近所のスーパーで良い豚肉があったので、台湾料理の角煮を拵えながら台湾建築の資料を斜め読みし、渡航調査をした気分になりました。

旅に病んで夢は枯野をかけ廻る。

(文責M1原田)