ご無沙汰しております。
本日は、文献ゼミのお話をしたいと思います。
文献ゼミでは、修士生以上が全員参加し、木割書と呼ばれる日本の建築設計技術書の読解、ディスカッションを行なっています。
扱う文献は年によって異なりますが、その多くがくずし字で書かれた古文書となり、字を読んで内容を把握すること自体がとても難解です。
よって、実際の文献ゼミがスタートする前に、初学者のM1に指導役としてM2がつき、木割書の基本的な読み方と解釈を学ぶ、プレ文献ゼミが行われます。
プレ文献ゼミでは、『新編拾遺大工規矩尺集』、『匠明』と毎年同じ木割書を読解し、M1それぞれが担当箇所についての発表をします。
現在はプレ文献ゼミの真っ只中で、ちょうど先日『新編拾遺大工規矩尺集』の発表が全員分終わりました。
それぞれの担当箇所はそれほど長くないのですが、ほんの数行を解釈・考察するだけでも相当の時間と労力がかかります。
発表直前は研究室で徹夜作業をする人もおり、卒論修論の佳境期を彷彿とさせます。
こちらは発表を控えたM1のレジュメ作成中の様子です。
発表までの簡単な流れとしては、まずくずし字辞典、古語辞典を頼りに本文を読み下し、
記載内容について他の木割書の記述や実際の遺構の寸法検証を通して考察を進めていきます。
扱う文献、それらを共有する人数ともにとても多いので、すぐに机上の秩序がなくなります。
(最近では多少マシになりました)
先週から後半の『匠明』に入りました。
より難解な表現に苦しみつつも、全員で協力し、M2、助手の助言もいただきながら理解を深めています。
相変わらず、毎日誰かしらが研究室に通い詰めている日々です。
辛い要素が多いので、ただ楽しいと一概に言えないのですが、同期全員で一つのことを進めたり議論したりする機会は滅多になく、そういった意味では今までにない充足感があります(筆者の意見ですが)。
7月に始まる文献ゼミに向けて、日本建築と向き合う感覚をより研ぎ澄ませていけたらと思います。
文責:M1 笠井