早稲田大学建築史研究室 月報

早稲田大学建築史研究室の活動報告ブログです。

10月報

ご無沙汰しております。

急激に空気も冷え夏から秋に様変わりしたこの頃、いかがお過ごしでしょうか。

 

10月から研究室も本格的に始動しております。本日は院ゼミの「文献ゼミ」について少しお話しできたらと思います。

 

今年の文献ゼミは「木割成立前に各部材系統内に暗黙の寸法割り付けがあったのか」ということをテーマに進めております。その暗黙の寸法割り付けを「空間的連関性」と捉え、様々な遺構や木割の分析を行い解明しようとしています。

調度先日、私の発表が終わったので率直な感想を述べさせていただきますと、視えそうで視えないものを証明することの難しさが今回の研究にはあります。何かがあることは分かっている、けれどそれを証明しようとするといつの間にか自分の手の内からすり抜けている・・・とでも言いましょうか。そんな感情を抱きながら発表に臨みました。

 

まだ私は修士1年で研究のことを細かく言える立場ではありませんが、このように「視えそうで視えないもの」を研究し続けている方の忍耐力や分析力、考察力は本当に素晴らしいなと感じます。今年度のゼミでこの「空間的連関性らしきもの」が証明されなくても、いつか証明され木割の研究がより発展することを願っています。

 

さて来月は研究室にとって一大イベントを控えております。それは卒業論文の発表です。来月の月報は卒業論文発表会についてお伝えしようと思います。

それではお身体にお気をつけてお過ごしくださいませ。

 

文責 M1田中

9月報

ご無沙汰しております。

8.9月はいかがお過ごしでしたでしょうか。

今年はオリンピックという一大イベントもあったので楽しく過ごされた方も多いのではないでしょうか。

 

さて小岩研究室は8.9月は夏季休業期間でしたが、9月初旬に修士1年の幾人かは建築學會の発表に参加しました。今年は初のオンライン開催とのことで、梗概書提出後に動画提出など前準備が多いように感じました。

発表は一人5分間で1分概要説明4分質疑応答という形式でした。私が発表した西洋建築史は、顔なじみの方々が多かったようで和やかな雰囲気で進められていきました。発表されている方々は、論文や本を拝読したことがある方々ばかりで緊張しましたが、修士論文に向けて貴重なご意見を頂きました。

学会は怖いイメージがあったのですが、皆さん色々な意見を提示し合って新しい発見を一緒にしていこうという雰囲気があり、とても和やかなものでした。学問のあるべき姿を垣間見れたようで、今後の励みになりました。

以上学会発表体験談でした。

 

次回は10月に配信いたします。季節の変わり目は体調を崩しやすいのでお気をつけてお過ごしください。

 

文責 M1田中

 

7月報

ご無沙汰しております。

7月の研究室は実地調査、卒論中間提出、修論中間発表と慌ただしく過ごしております。今月は実地調査の様子をご紹介します。

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門班

 

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母屋平面班と立面班

今年度の墨田区調査は吉野家住宅です。門と母屋、周辺・敷地配置に分かれて調査を行いました。3日間の間に寸法を取りきる必要があるため皆必死に取り組みます。

この調査では実測調査だけではなく、吉野家送り火にも参加させていただきました。

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送り火

私も小さい頃は毎年祖父母の家で送り火をしていましたが、高校大学と進学するごとに足が遠のき、送り火に参加しない年が続いていることを思い出しました。このような行事は準備など少し面倒なこともありますが、行事をきっかけとして親族が集まる機会を設ける、昔の人の知恵なのかもしれないと感じました。

暑い日が続きますが、皆様体調にお気をつけてお過ごしください。

(M1 田中)

6月報

ご無沙汰しております。

時間が過ぎるのは早いものでもう6月になってしまいました。研究室に人がいない日はなく、皆それぞれの目的に向かって活動しております。今回は、今年度のプレ文献ゼミの様子をご紹介します。

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発表準備で荒れる研究室

発表の写真を貼ったほうがかっこいいですが、その裏側で資料に埋もれながら準備している様子が伝わるでしょうか?プレ文献ゼミは、いつから始まったのか分かりませんがOBOGの方なら経験した方々も多くいらっしゃると思います。噂には聞いていましたが、M1になって実際に受けるとその大変さが骨身にしみます。

 

あまりにも汚くなってしまった反省より、現在はきれいな状態で使っています。確かに必要な資料は見つけづらく、あまり良い環境ではありませんでしたが、本に埋もれながら発表の準備を進めるのはなかなか楽しく、貴重な体験となりました。

 

それではまた7月に!

4月報

 

桜の花も散り若葉が付き始めたこの頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

初めまして、今年度月報を担当しますM1の田中です。

当研究室の活動や、日々の様子をお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

 

さて、研究室は新たにB4生が加わり卒業論文のテーマ探しに勤しんでおります。筆者は、M1なので卒論指導の立場にあるのですが、先週初めて指導したところ自分の指導力のなさに驚きました。違う地域、違う時代の卒論テーマにどのようなアプローチをしていけばよいのか…難しいです。B4生の卒論執筆を通して私たち修士生も学ぶことが多くなりそうです。

 

研究会は今年度は3,4つ新たに作られる様子です。筆者も同じM1と新設するのですが、なかなか面白い研究になりそうで今年1年間が楽しみです。

来月には研究会の更新をします。楽しみにお待ちください。

 

文責 修士1年 田中茉優子

 

 

 

河津優司先生ご退任講演会

このたび、本学建築史研究室ご出身の河津優司先生が、武蔵野大学教授をご退任なさるため、長年にわたるご活動についてお話しいただける会を開催する運びとなりました。

当日は中川武先生との対談も予定しております。

コロナ禍のためオンライン(Zoom)での開催となりますが、OB・OGの皆様におかれましては、ふるってご参加いただければ幸いです。

 

■開催日時

2021年3月24日(水) 15:00 - 17:00

 

■会場

早稲田大学構内で開催されますが、密を避けるため、オンライン配信となります。

当日ご参加いただくためのURLは、OB・OGの皆様には既にメールでお送りいたしております。

参加用URLの送信や対面でのご参加を希望される場合は、建築史研究室までメールにてご連絡ください。

3月報

いつの間にか梅花は散り、白木蓮の季節となってしまいました。行く1月逃げる2月…とは申しますが、学業に就職活動にと慌ただしく歩き回っていると、改めて時の過ぎることの早さに驚かされます。

 

 

ご無沙汰している間にB4の卒業設計提出もM2の修論発表も無事終わり、研究室は小康状態といった雰囲気です。今年の卒業設計はコロナ禍に影響されたテーマが多くなるものばかりと思い込んでいましたが、決してコロナ禍だけには絞られず、むしろ卒論のテーマをも反映するような意欲的な設計作品が多かったように感じます。小岩研究室メンバからは2チームが大隈発表の栄誉に浴しました。

 

そんな中、自宅で過ごす時間が長くなったこの冬、私は旅に出られない鬱憤を晴らそうと3Dプリンタを購入し操作練習に励んでいました。近年の3Dプリンタは安価なものでも精度の高い印刷ができ、驚くばかりです。寺院の木鼻をスキャンしたデータを印刷してみてもこの通り。この印刷物は、先日ご報告したWOI'21(早稲田オープンイノベーションフォーラム2021)にも参考造形物として出品させていただきました。

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卒業設計でも模型を作らずに3Dデータのレンダリングで模型写真に代えていた班がありました。今後は設計作品も全て3Dプリンタで出力して提出するような学生が出てくるのかもしれません。なかなか大きな模型、作業量が可視化されるような模型のインパクトが強い中、3Dプリンタでスマートに(?)出力された模型はどのような評価を受けることになるのでしょう。時代は明らかにそちらに傾注しているはずですが……この辺り、建築教育をテーマに卒論を書いていた友人に一言意見をもらいたいところです。

 

(M1 原田)